「極東からの風」 Ep.006 ~ 『ポールスター』

シリーズ「極東からの風」

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「極東からの風」Ep.005「愛をとりもどせ」
自分に愛が目覚めたとは...今でも自覚していない...クローンの自分がと思う自分はオールスターダスト計画のための道具にしか過ぎなかった。そういい私はオーナーに問う「愛とは何でしょうか?」オーナーは答えた「人間にある感情の一つだよ。相手を思う...

Ep.006 ~ 『ポールスター』

「……あ……ありがとうございます」

 まだ状況の整理もつかないままに、私はひとまず礼を述べた。

 『あしたは』と名乗ったゴリラは、あまり表情を変えずに「気にするな」とだけ素っ気なく返す。

 起き上がるために取った手は大きく、とても力強かった。そして暖かい。

「ぐぉお……が……ぁ」

 あしたはに殴り倒された男が悶え苦しんでいる。片方は気絶し、片方は意識はあれど起き上がれないようだ。

 無様というかなんと言うか……私がさっき腰が抜けていたのは棚に上げておくとしよう。あんまり追求して面白いものでもないし。

「この人たちは……? いきなりこっちに襲いかかってきたわけだけど」

「分からない」

「分からない?」

 困ったように表情を険しくするあしたは。

「たまにいるんだ、こういうのが。しかし……ここの鯖民では、おそらくない」

「え……?」

「どうやって入ってきたのか、まだ分からないことだらけだ。こいつらについて彼も調べようとしているが……進捗はまずまず、らしい」

 あしたはの指差した先には、コンブをもぐもぐと食べているサーバーオーナーの姿があった。塩分過多で死ぬぞ。

 私がふぅんと思っていると、突如気絶していた方の男がバシュン! と音を立てて弾け飛んでしまう。

「わーっへ!??!」

「おっと」

 さ、さながら風船……。

 飛び散った残骸もすぐに空中に溶けて消えてしまう。血は出ないし、なにも残らなかった。

「こいつらの共通点だ。絶命すると爆裂四散して消えてしまう……オーナーがBANするまでもなく」

「えぇ……」

 ついでにあしたはがもう片方の頭部も殴り飛ばすと、そちらも派手に飛び散って消えてしまった。

「ともかく、あまり気にすることでもないし、そのうちオーナーたちが対応してくれるはずだ。俺達一般鯖民が気にするようなことじゃない」

「そ、そう……」

 ぐるりと辺りを見回した後、あしたは「じゃあ、また」とだけ言ってどこかへ去ってしまった。

 優しい人だったな。少しつっけんどんだが。

 私も同じように辺りを見回したが、これからどうすればいいかが分からない。

 疲れ果てていたはずが、いつの間にかずいぶんと体は軽くなっている。サーバーをもう少し見て回るか、あるいはそろそろおいとまするか……。

 ふと、遠くでなにかが光った。あの方角にあるのは……山?

「ホーン……」

 その正体不明の光がどういうわけか気になって仕方がない。

 まぁ、たまにはこんな好奇心に任せてみるのも一興だろうか?

 私はひとまず、その山へと向かってみることにした。

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